

長期的視点を加えるこつ Tips how I include long term perspective
私は一度、乗っていた車が川の脇の崖を転落する事故に遭遇したことがある。真冬のチベット、ネパールの国境付近での出来事だった。冬は公共交通機関ないため、旅行者同士で車を手配しが国境を目指し移動中だった。標高5000メートルの強い日差しの中、突然すれ違ったトラックがカーブを大きくとってきた。私たちの車の運転手は咄嗟にクラッシュすることを避け、崖っぷちで速度を落とした。その瞬間、車体は宙に浮いた。 車は3回転半回転しながら15m落ちていったが、最新の衝撃を吸収しやすい車ではなく、昔のトヨタのランドクルーザーはフレームが頑丈だった。とにかく幸運なことに無事だった。落ちる瞬間、私の人生は終わったと思ったことを思いながら逆さまに潰れた鉄の塊をみていると、生きているのが不思議な気持ちになった。 きっと何かやらなきゃいけないことがあるんだろうな。と、呆然としながら思ったのを覚えている。 あれから20年が経った。 がむしゃらに頑張っている時は短期的にしか物事が見えず、その場を乗り切るために欲望に対して甘くなる。一生懸命働いて得たお金をストレス発散のために使い、自分の


なぜ私がストレッチを勧めないか why I don't recommend stretches
ヨガ人口が増え、柔らかければ柔らかいほど健康的と認識される現在の常識の中で、実は私はその常識を懐疑的に見ている。 ストレッチをすると神経を通して脊髄とやりとりしたり、脳内には神経伝達物質が放出されて気持ちよくなる。そして走ったりエクササイズをするのと同様、筋肉を伸ばしたり収縮させたりするので(筋肉を伸ばすということはその反対の作用をする筋肉は収縮しているはず)、血流やリンパの流れを促す。 それだけなら特に悪いことはない。むしろ良いことづくめに聞こえる。これから動きますよーと脳に伝えるぐらいなら問題ない。仕事の合間に伸びて気持ちいい感覚を休憩時間に味わうことでリフレッシュもできる。 私が勧めないのは、過度なアングルの、靭帯を傷つける恐れがありながらも気持ちいいからやめられなくなる過度なストレッチである。この気持ちよさはエンドルフィンがもたらすものである。エンドルフィンは脳内や中枢神経で作られる神経伝達物質の一つで、特に報酬系に多く分布し、多幸感をもたらすとともに、モルヒネ同様の鎮痛作用がある。ストレッチをするとこれがドーパミン同様、中毒性もある。筋


速く本能的vs遅く分析的 Fast&intuitive vs Slow&analytical
ダニエルカーネマンが書いたファストアンドスロウという本を読んだ。 人間は生きていくということは、大なり小なり選択の連続であり、その選択をより良いものにするために、私たちが普段どのように決定を下しているか、そこにある思い込みなどが書かれた本だ。 脳神経の観点ではなく、行動経済学という学問なので神経伝達物質などの具体的に身体に起こっていることに関しては書かれていない。 本の全体の中で、わかりやすいように彼はシステム1とシステム2という決断の仕方を説明として使っている。 システム1は速い思考。考えなくても出てくる、見てパッと思い浮かぶもの。本能的で、感覚的で、自動的なアプローチ。短絡的というと聞こえが悪いが、長期的には考えていない、短期的な視点での考え。 システム2は、遅い思考。分析的で、データや数字を元に判断したり、熟考する、長期的な視点で考えられる思考。 どちらも必要で、人の決定にはどちらも使われていて、そしてどちらにもバイアス(偏見、思い込み)がある。 ただ、システム1に努力はいらない。見たものがすべて、ぱっと思いつくものである。システム2には努